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2006年1月16日

おりこうさんおばかさんのお金の使い方 板倉雄一郎 著

20060115orikosan.jpgかわいい表紙に挑発的なタイトル。内容が気になる本だがよく見ると・・・著者はあの「社長失格」の板倉雄一郎氏だ。そして出版社もこれまた幻冬舎。これは買わずにはいられない。

かわいい表紙とは裏腹に、実は内容は結構ハイレベル。最初は生活の身の回りあたりからスタートだが、最後の章は基本的に株をやっている人向けの内容だし、ちゃんと把握するにはある程度会計の知識も必要。世間は株ブームだが、そういう人にはぴったりかも知れない。

しかしこの中で著者が言いたいことはそういう話ではなく、「お金・モノの価値をよく考える」「長い目で見て本当にそれは価値があること?」ということ。経済の本質の話。ちょっとエピソードを1つ紹介してみよう。

第1章が家電店などのポイントを「貯める?」「貯めない?」という話で、ここでは「貯めない」のが「おりこうさん」、貯めて使おうとするのが「おばかさん」だという結論になっている。それはなぜか。

1万円のものを買って「20%ポイント還元!」で2000ポイントついた場合、これは本来値引きしてもらえる金額に換算できる。つまり8000円で買えたものを現金1万円支払い、本来おつりのはずの2000円をポイントとして「預けた」ことになる。

ここで「なるほど!これからはポイント還元分だけ値引き交渉しよう!」と思う人は、この本に書いてはいないがそれも別の意味での「おばかさん」だ。店側からすれば、ポイント還元ということは、自社のみでしか使えない、つまり「縛り」があって再来店の可能性があるからそこも含めて「20%」にしているのだから。つまり幾分かは販促費込みというわけ。それがなければそもそもこんな大盤振る舞いはできない。普通に2割引けるなら二重価格で公正取引委員会から指導があってもおかしくない。

話はそれたが、氏の一番言いたいことは、ポイントにすることでお客さんと店の間には値引きされる分のお金がポイントとして「預けられた」ことになるが、銀行にお金を預ければ何がしかの利子がつくのに、こういったポイント制度では利子どころか、場合によっては1年以上の経過で無効になったりする。

つまり「預けた」割にはリターンがなくロスリスクだけがある、という恐ろしく不平等な関係になっているわけで、それを「ポイント還元」という名称で見えなくしている、ということ。見えなくするのはメーカーの戦略だが、見えていない消費者がそもそも「おばかさん」だ、という話。

せっかくなので実際にシミュレーションしてみよう。
4万円のデジカメをA君、B君がそれぞれ買おうと思っている。20%のポイント還元がついている。
このデジカメは記憶用メモリーカードが別売りで8000円。

A君はデジカメを買い、還元された8000ポイントですぐさまメモリーカードを買った。
B君もデジカメを買ったが、先々別の家電を買う予定があるのでポイントはキープ。けれどメモリーカードは必要なのでA君から1ヶ月間利子200円(2.5%)の約束でお金を借りて支払った。

1ヵ月後、B君はA君に8200円を返したとして・・・この1ヶ月間の収支はどうなるか。
二人ともデジカメは現金で買っているのでそこは消すことにすると、
A君 1ヶ月前に8,000円貸した分が財布から出て行く。1ヵ月後に8,200円で帰ってきたので+200円。
B君 1ヶ月前に8,000円借りたので財布は+8,000円。1ヵ月後に8,200円返したので-200円。
そしてまだ別の家電を買っていないのでポイントは8,000ポイント残っているが、これは8,000円としてしか使えない。

・・・ご理解いただけただろうか?A君の利子はかなり高い(年利30%)のだがそこはご愛嬌。
確かにこういう考えを持たないとお金は増えない。世間ではやれ株だ、FXだ、と騒いでいるが、根本的にこの考えがなければ相場もギャンブルとそう大差ない。

しかしこういう考え方が長らく教育では教えられず、国民みんなが「おばかさん」状態だったのも事実。ちょっとハイブローだが、頭の体操代わりにぜひお勧めする。

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投稿者 netjinsei : 2006年1月16日 00:21

コメント

株deVUITTON管理人のキャリオンと申します。
最近、株や経済に関する本を紹介するブログを始めましたが、netjinseiさんのようにここまでうまい文章を書いて伝えることが出来ません。本だけではなく、他の紹介文にも読み入ってしまいました。
自分もnetjinseiさんのように魅力ある文章が書ければと本気で思いました(^^)
これからも更新を楽しみにしております~

投稿者 キャリオン : 2006年2月11日 23:20

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